消費税の課税事業者になるかどうかは、基本的には基準期間(個人事業主はその年の前々年、法人はその事業年度の前々事業年度)の課税売上高が1,000万円を超えるかどうかで決まります。1,000万円超であれば課税事業者、1,000万円以下で基本的には免税事業者です。
この判定をするときの基準期間ですが、1年未満となる場合の取扱いについて、本記事で解説します。先に結論を述べておくと、法人については年換算して判定、個人事業主は年換算せずに判定となります。
基準期間が1年未満で法人の場合
法人は、期間が1年未満の場合、1年に換算して基準期間の課税売上高を算定します。つまり、「基準期間の課税売上高÷基準期間の月数×12か月」という計算式になります。以下具体例です。(ここでは基準期間での判定以外での課税事業者となる要素はないものとします)(消費税法9条2項2号)
【具体例1】基準期間の課税売上高800万円、基準期間の月数10か月
→800万円÷10か月×12か月=960万円<1,000万円=消費税の課税義務なし
【具体例2】基準期間の課税売上高850万円、基準期間の月数10か月
→850万円÷10か月×12か月=1,020万円>1,000万円=消費税の課税義務あり
なお、基準期間の月数で1か月に満たない端数がある場合には、これを1か月として計算します。例えば、基準期間が11か月と1日だった場合、「÷11か月×12か月」とするのではなく、「÷12か月×12か月」となるので、注意しましょう。これは基準期間の課税売上高を小さくする方向の取扱いなので、納税者有利の取扱いです。(消費税法9条3項)
基準期間が1年未満で個人事業主の場合
個人事業主は簡単で、基準期間が1年未満だったとしても、年換算はせずにそのまま判定すればOKです。つまり、基準期間の実際の課税売上高で判定すればよくて、半年でも、10か月でもその月数で計上した課税売上高が1,000万円超であれば課税事業者となり、1,000万円以下であれば免税事業者となります。(消費税法9条2項1号)
まとめ
基準期間が1年未満の場合、法人は年換算する、個人事業主は年換算しないと、取扱いが異なるので注意しましょう。
そして、法人は年換算することになるので、実際の課税売上高が1,000万円を超えていなくても、年換算ベースで1,000万円を超えていれば、消費税の課税事業者となるので、要注意です。