消費税の申告では還付となるケースも少なくありません。普通は還付となればうれしいものですが、中には還付申告は避けたいという人もいるかもしれません。なぜなら消費税の還付申告では審査があり、その過程で調査が行われたり、税務調査が入りやすくなるといったデメリットもあるからです。
そうしたデメリットを避けるためにあえて還付申告はしないという方法を考える方もいるかもしれませんが、それは残念ながらほとんどの場合不可です。消費税法では、確定申告が義務となる条件について以下の通り定めており、太字にある通り、国内における課税資産の譲渡等、つまり国内での消費税の対象となる売上が発生している場合には、たとえ還付となったとしても消費税の確定申告(還付申告)は義務となります。
(課税資産の譲渡等及び特定課税仕入れについての確定申告)
第四十五条 事業者(第九条第一項本文の規定により消費税を納める義務が免除される事業者を除く。)は、課税期間ごとに、当該課税期間の末日の翌日から二月以内に、次に掲げる事項を記載した申告書を税務署長に提出しなければならない。ただし、国内における課税資産の譲渡等(第七条第一項、第八条第一項その他の法律又は条約の規定により消費税が免除されるものを除く。)及び特定課税仕入れがなく、かつ、第四号に掲げる消費税額(≒納付すべき税額)がない課税期間については、この限りでない。
上記は国税庁のサイトでも示されています。No.6605 納付税額がないときの確定申告
よく還付申告は「できる」規程なので、還付申告するかどうかは自由というイメージを持たれている方もいますが、国内での課税売上があれば、「還付申告はしなければならない」となりますので、勘違いしないようご注意ください。
なお、仮に還付をしなかった場合の影響としては、下記が考えられます。
- 税務署から確認の連絡があり確定申告をするよう指導を受ける。
- 結果的に還付であれば加算税や延滞税などのペナルティは特になく、むしろ還付加算金の対象になる。
- 仮に消費税の計算が間違えて納付となった場合には、逆に加算税や延滞税などのペナルティの対象となる。
また、還付申告をしない=税務調査を避けたいと考えている=後ろめたいことがある・調査を受けたくない事情がある、と税務署側に勘繰られる可能性大だと個人的には思うので、あえて還付申告はしないということはせずに、正々堂々還付申告はした方がよろしいかと思います。(というか消費税法上の義務です)
還付申告をするかどうか迷わなくても良いように、日頃から正しい経理と納税(還付)に努めることを強くお勧めします。
以上、消費税の還付申告をあえてしないということは出来るか?についてでした。参考になりましたら幸いです。