個人事業主として仕事をする場合、一人で頑張る方もいれば、夫婦で一緒に頑張る方もいらっしゃいます。私自身は一人で頑張っているパターンですが、私の両親なんかは夫婦で美容院を経営しているので、夫婦で頑張っているパターンです。
私も2021年1月に独立してから1年が経過し、個人事業を一人で頑張るメリットやデメリットを色々感じているので、今日はその辺の話をしようと思います。
お金の観点(節税など)
最初に税理士っぽくお金の観点から考えてみたいと思います。
夫婦間での給与(専従者給与)
個人事業を一人でやる場合は業務に関係する経費(必要経費)をどれだけ捻出できるかによって、どれだけ節税できるかが変わってきます。対して、夫婦でやる場合には、一般的には夫か妻のいずれかが個人事業主となり、個人事業主とならなかった方が従業員として給与を得ることで、節税に繋がります。
この夫婦間での給料は、税務用語で「専従者給与」といい、青色申告の場合は原則全額経費算入が可能となります。経費と言っても、実際には夫婦のお金になるので、家計単位でみれば自分のお金と同じようなものです。そのため、この給与分は所得税が無税となり、その分家計的にもかなりお得になります。(あまりにも高すぎる給与は認められません)
従業員がいると交際費や福利厚生費も使いやすい
相手が夫や妻であったとしても、税務上は従業員になりますので、従業員の慰労で交際費を使ったり、残業時の食事代として福利厚生費を使うなど、夫婦で経営をしていると色々と経費の使える幅が広がります。対して、一人事業の場合は、従業員がいないので、こういった従業員相手の経費の支出は基本的には認められません。
私が小さいころは、家族でご飯に行ったときに両親がお店の名前で領収書を切っていた記憶があるのですが、今にして思えば、それらも経費にしていたのかもしれません。ほぼほぼプライベートだったような気もしますが(笑)、夫婦で経営をしていると、残業とかこつけて、そういった費用も経費として落とせる可能性はあるので、税務的には夫婦での経営はメリットがあると言えます。
一人事業ならではの節税メリットはある?
ここまで夫婦で経営している場合の節税メリットを見てきましたが、一人事業ならではの節税メリットはあるのかというと、残念ながら、私の知る限り一人事業ならではの節税メリットはありません。強いて言えば、夫や妻がいないことで経費を自分の思い通りに使えるぐらいでしょうか、、、
身体的な観点(仕事分担、家事分担など)
夫婦で仕事の分担できるので楽
夫婦で仕事をしていれば、接客やレジ、裏方など色々な業務を分担できるので、夫婦でやる方が一人でやるよりも負担は軽くなります。この業務分担を半々ぐらいにしていれば、専従者給与の金額も大きくできるので、それだけ節税にもつながります。
夫婦で家事の分担ができるので楽
夫婦で仕事をしていれば、家に帰った後の家事もお互い助け合えるので、基本的にはプラスだと思います。家事は人数分発生するので、一概に夫婦だから楽ということはないかもしれませんが、私のように一人事業の場合は、自分が家事をやらなければ誰もやらないので、色々と調整しやすいという面では、やはり夫婦で仕事をする方が身体的には楽かなと思います。
一人で事業を回していると、営業、本業の業務、経理、お金の管理など全部自分でやることになるので、プライベートの家事まで時間がとりづらいこともしばしばあります。
精神的な観点(プレッシャーやモチベーション)
個人事業は不安との闘い
最後に精神的な観点でどうかということについて。
私も独立して1年が経過しましたが、仕事があるうちは「意外といけちゃうもんだなー」と余裕もありますが、仕事がない時は一気にプレッシャーに襲われます。このプレッシャーにも波はありますが、ひどい時だと朝起きた時に非常にブルーな気分になっている瞬間があります(笑)
こうしたプレッシャーを感じている時に、夫婦で仕事をしていると、お互い励ましあったりできるので、そういった部分はいいなーと私も思うときがあります。
ただ、こうしたプレッシャーが逆に事業を成長させる原動力になることもありますので、一概に一人でやるのが悪いとも思いません。また、夫婦でやる場合には家計を守るというプレッシャーも相当大きいと思います。その点、一人の場合はそういったプレッシャーはないので、気楽に仕事ができるともいえます。
まとめ
一人でやるとしても、夫婦でやるとしても、事業を軌道に乗せて、生活するために必要なお金を稼がなければいけないということに変わりはありません。一人で頑張ればそれだけリターンは大きく、困難を乗り越えた達成感は大きいでしょうし、夫婦で頑張れば何物にも代えられない絆や思い出ができることでしょう。
税務的には夫婦で仕事をするメリットは結構大きいので、もし個人事業をされていて、夫や妻が無職なのであれば、一緒に仕事をして家計全体での節税をされてみてはいかがでしょうか。