役員報酬ゼロで会社を作るメリット・デメリット

会社を作ったら普通は役員報酬を支給しますが、役員報酬を支給しないという選択肢もあります。本記事では役員報酬を支給しないことのメリット・デメリットをご紹介します

目次

役員報酬を支給しないメリット

副業バレがない

本業で会社員等をしている方が会社を作って役員報酬を支給すると、「住民税」「社会保険料」で副業バレする可能性は極めて高いです。

なぜなら、まず住民税側では住民税の特別徴収(給与からの源泉徴収)で、副業分の給与の住民税も本業の方の給与からの源泉徴収で合算して行う自治体が多いので、その場合は本業側で「あれ?この人なんでこんなに住民税が高いの?」と疑念が生まれます。住民税の特別徴収は雇い主側は所得種類まではわからないので、給与以外の所得から発生した住民税と言い訳もできますが、それをきっかけに副業バレする可能性も無いとは言い切れません。

社会保険料の方では、2か所給与の場合、2か所での給与を合算してそれぞれの社会保険料の額が計算・通知されるので、この場合は「あ、この人別の事業所で給与もらってる!」と即バレします。そのため、住民税で副業バレを回避しても、社会保険料で副業バレすると思った方がよいでしょう。

前置きが長くなりましたが、この副業バレは役員報酬という給与をもらっているから起きることなので、役員報酬を支給しなければ(個人)住民税は発生せず、社会保険料(※)も発生しないので、副業バレすることはありません。

(※)社会保険(厚生年金・健康保険料)は役員報酬の支給がなければ加入することが出来ません。役員報酬ゼロで、かつ本業等で社会保険に加入していない方は国保に加入することになります。

会社にお金が溜まる

役員報酬を支給しなければ、その分会社に利益が残るので、資金も多く会社に残ります。

資金を多く残しておくメリットは、将来会社で事業投資や不動産等の投資に使うための軍資金になるという点です。

もちろん会社に利益が残れば法人税等(実効税率~400万:21%、400万~800万:23%、800万~:34%)はそのままダイレクトに課税されますが、個人のように累進課税で55%まで上がることもないので、税金が取られまくるということはありません。

会社維持の手間や税理士費用が少し減る

役員報酬を支給すると、給与計算、社会保険の手続き、役員報酬の変更要否の検討、源泉税、年末調整、法定調書といった作業が必要になってきます。

この分手間がかかりますし、税理士にお願いするならその分料金がかかります。

ですが、役員報酬の支給がなければ上記作業のほとんどはなくなるので、手間も減るし、税理士に払う料金も多少は値下げが可能です。

役員報酬を支給しないデメリット

法人税等負担が大きくなり節税では若干不利

他方でもちろんデメリットもあります。それは、二重課税となって不利になる部分があるという点です。

会社を作ったら役員報酬を支給する会社がほとんどなのもこのデメリットが大きな理由の一つでしょう。

会社で稼いだ利益は役員報酬を支給しなければ、法人税等(実効税率~400万:21%、400万~800万:23%、800万~:34%)が課税され、会社に残る資金はこの税引き後の金額です。この税引き後のお金を個人に移す際には役員報酬であれば普通に給与課税され、配当でも配当所得として課税されます。

この二重課税は何も考えずに行えば、税金的にはかなりもったいないので、将来個人に移すという選択肢しかない(事業投資や不動産等の投資には使わない)場合には会社に利益を残すのはあまりお勧めできません。

なお、この二重課税は個人の所得が小さい時に会社から個人に移せば多少影響を緩和することもできるので、もしこのやり方を使うなら、会社から個人に移すときにはやり方や時期について検討すると良いでしょう。

配当で移せば配当控除という制度もあり、二重課税に配慮した資金の移し方もあります。

まとめ(役員報酬ゼロも全然あり)

以上、役員報酬ゼロで会社を作るメリット・デメリットでした。

特に副業で会社をやる場合には、本業がある間だけでも役員報酬をゼロにするというやり方で、副業バレをせずに早く会社としての副業がスタートできるというメリットがあります。

当事務所でもこうした形でのサポートは行っておりますので、ご興味がある方はお気軽にお問い合わせください。

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