本記事では個人の確定申告と年末調整のいずれもする方で、年末調整はどこまで真面目にやるべきか?というテーマでお話しします。
年末調整じゃなくても税金の控除は受けられる
これらいずれもする方は一度は考えたことがあるのではないでしょうか?「(これって年末調整じゃなくて個人の申告で全部やればいいんじゃね?)」と。
そうなんです。実は年末調整で行う生命保険料控除などの各種控除は別に年末調整でやらなくても、個人の申告で控除を適用すればちゃんと所得税の還付や住民税の精算は行われます。なので、年末調整で会社に提出するのが面倒な場合や出し忘れた場合には、個人の申告で適用すれば税金計算上は特に問題ありません。
年末調整をやるのは会社側は義務
ただ、個人の申告で精算すればいいというのは個人側(従業員側)の論理で、会社からしてみれば年末調整をやるのは法律で定められた義務なので、従業員がやりたくないからといって「はい分かりました」とはなりません。
それをOKすると法律違反になるし、特定の従業員だけ特別扱いしていると逆に手間がかかるので、基本的にそのような扱いをすることは難しいでしょう。
年末調整ではなく個人の申告でもOKな場合とは?
では、どんな場合だったら年末調整ではなく個人の申告でもよいのかというと、例えば下記のような方です。
【大前提】年末調整の結果、還付になる人
→年末調整をしない問題点として税金の精算のタイミングが個人の申告時である翌年の3月15日頃になってしまうという点があります。本来であれば翌年1月10日(納期特例なら1月20日)までに納税するはずの税金が3月になってしまうと会社としては源泉税の納付漏れとなってしまうので、還付じゃない限り年末調整はちゃんとやるべきです。
自分で会社を経営している人
→先にも説明した通り、年末調整は会社の義務なので、特定の従業員だけの特別扱いはなかなか難しいです。ですが自分の会社であれば年末調整をどこまで真面目にやるかはある意味自由(自分以外の従業員分はちゃんとやるべき)なので、「どうせ個人の申告もやるのだからその時に一緒にやればいい」という考え方もあるでしょう。ただ、これも還付であることが大前提なので、徴収(納付)となるのであれば、ちゃんと年末調整時点で精算しましょう。
まとめ(基本的には年末調整をちゃんとやるべし)
以上、個人の確定申告をする人は年末調整もちゃんとやるべきか、についてでした。
特に一人社長の場合、年末調整ではなく個人の申告でまとめて精算している方も実務上は結構いらっしゃるのでは、と思います。私の顧問先でもそういう方はいらっしゃいます。
ただ、年によって年末調整をやったり、やらなかったりするとミスの元にもなりますし、やるかどうかを毎年考えるのも面倒なので、個人的には毎年のルーティン作業として年末調整→個人の申告と2回にわけてそれぞれちゃんとやることをお勧めします。