最近は金利も上がってきて金融公庫の金利も上がってきたなという印象です。そんな時にオススメなのが金利が1.65%(2025年1月17日時点)で固定のマル経融資(正式名称「小規模事業者経営改善資金」)です。
本記事ではこのマル経融資の活用方法などについて解説します。
マル経融資の特徴、メリット・デメリット
マル経融資の特徴としては、無担保、無保証人、そして金利がなんと1.65%!
金融公庫の新規開業資金の金利が、新規開業や35歳未満等の優遇条件に該当しない場合は2.5%~となるのに比べるとマル経融資の金利がどれだけ安いかは一目瞭然だと思います。この金利差でどれぐらいキャッシュアウトが変わるのかというと、例えば1,000万円を10年返済する場合、
- マル経融資の返済総額は10,831,875円、内利息が831,875円
- 新規開業資金(金利2.5%で計算)の返済総額は11,260,417円、内利息が1,260,417円
となり、マル経融資のほうがトータルで支払う利息が約43万円も安くなります。43万円あったら贅沢な海外旅行が出来ちゃいますね。
なので、新規開業や35歳未満等の優遇条件に該当しない場合はマル経融資がオススメです!
以上、マル経融資の特徴とメリットについてですが、デメリットとしては「時間がかかる可能性がある」という点があります。マル経融資は商工会議所から推薦を受けるという特性により、商工会議所内での審査会を経る必要があり、この審査会の開催スケジュールに合わないと長くて相談から融資入金まで1か月~2か月ぐらいかかる可能性もあります。金融公庫の新規開業資金とかであれば早ければ3週間~1か月以内には入金されるので、早く融資を得たい場合にはマル経融資よりも新規開業資金等の他の融資制度で申し込むことをお勧めします。
マル経融資の活用方法・ポイント
マル経融資とは?利用条件、利用方法など
では、ここで改めてマル経融資の概要、利用条件、利用方法などをポイント解説します。
マル経融資は商工会議所(以下、商工会も含みます)経由で金融公庫に申し込む融資制度です。ご自身が事業を行っているエリアの商工会議所に相談し、商工会議所から金融公庫に推薦してもらい、金融公庫から融資を受けます。事業者は商工会議所とやり取りをするのみで金融公庫とのやり取りは商工会議所が行います。日本商工会議所のこちらのページにわかりやすい図があったので貼っておきます。
金融公庫の新規開業資金などで融資を申し込む場合、事業者が自ら金融公庫とやり取りするのに対して、マル経融資は商工会議所経由で金融公庫とやり取りをするというのが大きな違いですね。
利用条件は下表をご参照ください。
利用時にネックとなるのは下記2つです。
- 最近1年以上、商工会議所(商工会)地区内で事業を行っていること。
- 商工会議所(商工会)の経営・金融に関する指導を原則6ヵ月以上受けていること
上記条件があることから、まず開業1年未満の方は利用できません。また商工会議所の地区内という条件から、マル経融資の申し込みは事業を行っているエリアの商工会議所(地域によっては商工会)経由となります。他地区の経営指導員に知り合いがいるからといって、その地区の商工会議所に申し込みは出来ないということです。
さらに商工会議所からの経営指導を原則6か月以上受けていることという条件も商工会議所によってはネックになる場合があります。これについては次で詳しく解説します。
商工会議所にマル経融資の申し込みをしたいと連絡した後は、下記流れで進みます。事業者側がする作業としては、商工会議所の経営指導員との面談、経営指導員が事業所に訪問する場合にはその対応ぐらいで、後は経営指導員が金融公庫とのやり取りも含めてすべて行ってくれます。
通常の融資だと融資面談や融資申し込み資料の作成などは事業者が自ら行うのに対して、マル経融資は基本的には経営指導員がすべて行ってくれるので、そういう意味では手間がかからない融資制度とも言えます。
商工会議所(商工会)には早めに加入しておく
マル経融資の利用条件として、「商工会議所(商工会)の経営・金融に関する指導を原則6ヵ月以上受けていること」という条件がありました。
この条件は、それぞれの商工会議所のルールで微妙に異なっていて、
- マル経融資の利用後に加入を推奨される
- 加入していればOK
- 加入後6か月経過していないとダメ
など、結構違います。そのため、この条件が自分の事業エリアの商工会議所でどうなっているかをまずは確認した方がよいでしょう。
それで、もし原則通り6か月加入が必要となる場合には、将来のマル経融資の利用を念頭に置いて、早めに商工会議所に加入しておくことをお勧めします。
いざマル経融資を使いたいとなったときに6か月待たされていては意味がありませんからね。早め早めに動きましょう。
他の融資制度(新規開業資金など)とどちらを優先すべき?
よくある疑問に「新規開業資金とマル経融資はどちらを優先すべきか」という疑問が出ることがあります。
この問いに対しての回答は、「金利がいい方を優先すべき」です!またマル経融資は他の融資制度と併用が出来るので、トータルの与信で問題ないのであれば、マル経融資を満額(2,000万円)利用して、残りをもう少し金利が高い他の融資制度で調達するというやり方もあります。
マル経融資には商工会議所を通す関係で利用条件を別途満たす必要はありますが、それを満たしているのであれば金利が安いマル経融資を使わない手はありません。
併用するパターンだと融資の進め方もやや特殊になるため、ご自分で進めることに不安がある場合には税理士のサポートも検討してみることをお勧めします。税理士に相談すれば、自分がいくらぐらい借りられそうか、金融公庫との繋ぎ、金融公庫への申し込み資料の作成など全体的なサポートをしてもらえます。
まとめ
以上、「マル経融資」の活用方法についてでした。当事務所ではマル経融資のサポートも行っておりますので、融資調達でお悩みの際はお気軽にお問い合わせください。