会社設立時の資本金や、会社設立のためにかかった経費(=創立費)の会計処理・仕訳について解説します。
資本金の会計処理・仕訳
資本金払い込み時の仕訳
会社の銀行口座は、会社の設立登記が完了するまでは開設することができません。
そのため、設立登記のための資本金払い込みは一旦発起人(発起人が複数の場合は代表発起人)の銀行口座に入金することになります。
これは、会社の資本金が発起人に一時的に預けられている状態となるため、会計上は下記仕訳で表現することになります。
【資本金払い込み時の仕訳】
預け金××/資本金××
法人口座に資本金を入金したときの仕訳
会社の設立登記が完了して、会社の銀行口座の開設も完了したら、資本金として設定した額を実際に会社の銀行口座に入金します。
この時の入金仕訳で、先ほど「預け金」で処理したものを取り崩すことになります。
【法人口座に資本金を入金したときの仕訳】
普通預金 ××/預け金 ××
上記一連の仕訳を見ていただければ分かるように、最終的には「預け金」がゼロになるので、最初から「普通預金××/資本金××」という仕訳で計上することも考えられますが、実際には法人口座への入金が忙しくてすぐに出来ない場合などもあるので、一旦「預け金」として処理しておく方がオススメです。
設立前経費(創立費)の会計処理・仕訳
設立前経費を支払ったときの仕訳
会社設立のためには、登録免許税や定款認証費用などの法定費用から、司法書士等への設立サポート費用など色々な費用が掛かります。これら会社設立のための費用は、「法人の設立のために支出する費用」ということで、「創立費」という繰延資産になります。
また、この設立前経費は法人口座開設前の支出になるので、払ったタイミングでは発起人個人のお金から支払っているかと思います。そのため、会社が社長からお金を借りて支払ったと考えて、貸方は「役員借入金」で処理する形になります。
【設立前経費を支払ったときの仕訳】
創立費 ××/役員借入金 ××
一言で創立費といっても、内容や支出のタイミングはバラバラだと思いますので、仕訳としては内容や支出日毎に分けて計上しておくと後で見て分かりやすいかなと思います。
設立前経費を会社資金(資本金)と精算するときの仕訳
設立前経費は発起人個人のお金から出していますが、実際には法人が負担すべき経費となるので、先ほどの「役員借入金」は資本金が入金され次第、法人口座から個人口座へ返金する形となります。
【設立前経費を発起人に返金するときの仕訳】
役員借入金 ××/普通預金 ××
役員借入金と預け金を相殺して精算する形でもOK
資本金や設立前経費の一連の処理をするときに私がよくやる仕訳をご紹介します!
会社設立後のお金の流れとしては、①発起人に預けていた資本金の返金(発起人→会社)という流れと、②発起人が立て替えていた設立前経費の返金(会社→発起人)という二つの流れがあるため、これらを相殺して精算するというのが仕訳的にも実際の振込の手間的にも簡単なので、オススメです。
つまり、例えば資本金100万円の会社で、設立前経費が30万円だった場合の一覧の仕訳やお金のやり取りは以下の通りです。
【資本金払い込み】
預け金 100万円/資本金 100万円
【設立前経費の支払い】
創立費 30万円/役員借入金 30万円
【預け金の精算及び資本金の入金】
役員借入金 30万円/預け金 100万円
普通預金 70万円
→上記のように預け金と役員借入金を相殺するような形で処理すれば、仕訳としても1本になりますし、実際の入出金の精算も発起人から法人口座への1回の入金(差額70万円)で完結します。
まとめ
会社設立時の資本金や設立前経費の処理は、会社設立前からのお金の動きが絡んでくるため、ちょっと分かりにくいかもしれませんが、お金の動きを一本ずつ分けて考えると理解しやすいかなと思います。
会社を作った場合には、個人のお金と法人のお金は厳密に分ける必要があるため、会社設立時からしっかりと記帳していきましょう!