費用計上のタイミングで迷う時ってありますよね。特に会社の期末日前後や個人事業主の12月末前後は微妙なタイミングの時もあって迷いどころだと思います。
本記事では、費用計上のタイミングについて解説します。会計上は発生しているかどうか、税務上は債務が確定しているかどうかで考えることになります。会計の方が範囲は広く、税務の方がより厳格です。
費用計上のタイミングは基本的には発生主義で考えればOK
会計上も税務上も基本的には発生済みの支出は費用になります。ただし、税務上は債務が確定しているかどうかを考える必要があるので、その点要注意です。
費用計上のタイミングとしては、具体的には以下の通りです。
- 物品の購入→購入した時点で費用計上(期末在庫は費用から戻し計上が必要)
- サービスの提供→サービス提供が完了した時点で費用計上
物品の購入でも、仕入として購入した物品で期末時点でまだ売れていないものは「商品」として仕入高から戻す必要(以下仕訳)があるので、その点は注意しましょう。これは、費用収益対応の原則に基づく処理です。
【仕訳】棚卸資産 ××/仕入高 ××
実務的には、物品の購入時やサービス提供の完了時点で、領収書や請求書が発行されると思いますので、その発行日付で費用計上を行います。
ただし、請求書の発行が事務的な都合で期末を跨いでしまった場合とかもあると思います。その時は、実態として期末時点で物品の購入やサービス提供が完了しているかどうかで考えます。このような微妙な時には会計上は費用計上出来ても、税務上は債務確定主義で費用計上不可となってしまうこともあるので要注意です!
税務上は債務確定主義となるので要注意
税務上は税金を過少にさせないために、費用計上のタイミングがより厳格に決められています。
以下条件を満たしている場合に、税務上の費用として計上出来る。
- 期末日までにその費用に係る債務が成立していること。
- 期末日までにその債務に基づいて具体的な給付をすべき原因となる事実が発生していること。
- 期末日までにその金額を合理的に算定することができるものであること。
この債務確定主義の考え方は会社(法人税)でも個人事業主(所得税)でも同じです。
基本的には会計上の発生主義と同じようなイメージで問題ありませんが、例えば期末日時点で請求書が未発行だと、税務署から債務がまだ成立していないのでは?と指摘されるリスクや、金額の算定が出来るのか?といった指摘が入るリスクがあります。
そのため、特に金額の大きな取引においては、税務上の費用に計上出来るかどうかというのも慎重に考える必要があります。
まとめ
以上、費用計上のタイミングは発生主義で考える、でした。税務上は債務確定主義という点には気を付けましょう。