記帳を進めるに当たっては、発生主義と現金主義の2つのやり方があります。基本的には、発生主義が原則で現金主義が簡易な方法という位置づけになります。
いずれの方法でも税金計算上の所得に影響がなければ、税務実務上はそこまで問題はありませんが、記帳作業上のミスにつながりやすいので、いずれの方法で記帳するかは統一しておくのが望ましいです。
具体的には、発生主義と現金主義が混在すると、現金収支が発生したときにその見合いの未決済勘定があるかないかの確認が必要となり、その確認ミスがあると、取引を二重で計上してしまう恐れがあります。
例えば、以下のようなイメージです。
①A社に対する売上の発生 → 売掛金××/売上××
②A社からの入金 → 預金××/売上××
上記②の入金が実は①に関する入金であれば、本来は②は「預金××/売掛金××」という仕訳が正解です。上記仕訳だと売上が2回記帳されているので、取引が重複しています。
上記のケースだと1取引しかないので、まず間違えることはないと思いますが、これが複数取引があったり、分割入金とかがあるような取引だと、発生主義と現金主義のいずれかに統一しておかないとミスに繋がります。
基本的には発生主義が原則なので、請求書を発行していたり、請求書を受領して支払をするような取引については、発生主義に基づき未決済勘定を計上して、現金収支が合ったときにその未決済勘定の消込をするというやり方で記帳するのがオススメです。
もしそのやり方で記帳しない場合には、中途半端に未決済勘定を使うのではなく、いっそ現金主義できっちり記帳していくのがよろしいかと思います。ただし、その場合は、期首期末の期ズレ(発生と現金収支のタイミングがずれている取引)には注意しましょう。これをちゃんと加味しないと、所得計算が変わってきてしまうためです。
この取引重複は実務でも頻繁に起こり得るミスなので、十分な注意が必要です。