立替経費の領収書はどこまで確認すべきか

先日顧問先からいただいた質問です。「外注先が立て替えた経費の領収書はどこまで確認すべきでしょうか?一定金額以下は確認しないというようなやり方はありですか?」本記事ではこの問いについて解説します。

上記問いに対して考えるべきポイントは、①架空請求の防止、②消費税の仕入税額控除の要件の2つになります。

目次

①架空請求の防止のためにはすべての領収書をチェックすべき

そもそもなぜ領収書を確認しないといけないのかというと、領収書がないとホントにその経費が発生したかどうかが分からないためです。悪い人は実際は発生していないのに経費を請求して儲けようとするかもしれません。

そういう事態を防ぐためにも、立て替えた経費の領収書は請求書と一緒に提出してもらいその実在性を確認しましょう。そして、領収書の内容に疑義があれば請求元に確認し、実在性や内容に問題がないことを確認した上で立て替えてもらった経費の代金を支払うのです。そうすることで、架空請求が防止できます。

なお、支払するかどうかの判断のためには領収書のPDFや画像でも良いですが、経理上領収書は原本の保存が原則となるため、領収書原本も後で郵送等で提出してもらうようにしましょう。

ここで、すべての立替経費をチェックすべきかというと、実はそうではなく、毎日の通勤電車代など領収書は基本もらわない支出というものもあります。そのような性質の立替経費までいちいち内容を確認しようとすると大変なので、内容が明らかに問題なく、金額も少額であればその領収書の確認は省略した方が現実的です。実際電車代などは新幹線などの長距離の交通費を除いて確認しないという会社が多いと思われます。(もちろん通勤経路や発生するであろう交通費の額と大幅にずれていないことの確認は日々必要です)

②消費税の仕入税額控除の要件で必要となるかどうか

架空請求の防止の他、もう一つ注意しないといけないのが消費税の仕入税額控除を適用するために必要な領収書保存義務の観点です。

消費税の課税事業者で、原則課税を適用し、インボイス制度下の2割特例も適用していない場合には、原則として仕入税額控除を適用するためにその課税仕入の領収書等の保存が要件となります。そのため、外注先が立て替えた経費の領収書を自社の仕入税額控除とする場合には、領収書等のインボイスを提出してもらう必要があります。

ただし、少額特例に該当する場合や、帳簿のみで仕入税額控除が認められる場合(こちらのP14ページ参照)に該当する場合には、インボイスの保存が不要となるため、これらの場合にはあくまで架空請求の防止目的でどこまで確認するかという観点で考えればOKです。

また、外注先の社名が入った領収書の場合、立替金精算書等の書類の保存をもってインボイスの保存要件を満たすことも出来るため、このやり方も知っておくとよいでしょう。この立替金精算書等方式についての詳細はこちらをご参照ください。

以上のように、消費税の課税事業者で原則課税を適用している場合には架空請求の防止という観点の他、消費税の仕入税額控除の要件を満たすために必要な領収書等の保存義務の観点も必要になってくるため、注意が必要です。

まとめ(通勤交通費以外は原則確認すべき)

以上、立替経費の領収書はどこまで確認すべきかについてでした。

立替経費の領収書を確認するのは手間ですが、架空請求の防止、消費税の仕入税額控除の要件の観点からも通勤交通費などの日常かつ少額な支出以外は基本的にはすべて確認すべきといえるでしょう。特に消費税の観点では仕入税額控除の要件を満たしていなければ消費税の納付税額が上がるという実害もあるので、立替経費の領収書の確認・保存もしっかりと対応されることをオススメします。

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