本記事では、銀行確認状を発送する際に注意した方がよい点についてご紹介します。
銀行確認状とは
銀行確認状とは、公認会計士が会社の預金や借入金などの財務科目を監査をするために銀行に依頼する残高証明書のことです。
預金や借入金などの財務科目は、会社から通帳や融資契約書などを入手するよりも、銀行から直接取引情報を入手する方が監査証明力は高く、また手っ取り早いので、会計監査では銀行確認状がよく用いられています。
銀行確認状は、監査先の会社名で下記書類を銀行に発送することで、入手できます。
- 依頼書
- 回答書
銀行によっては、銀行独自の回答書フォーマットがあり、その発送をもって回答されるケースもあります。
銀行確認状は、その証明力の高さからとても大事な監査手続の一つになっています。
そのため、銀行確認状の発送から回収までは丁寧な作業が求められます。
銀行確認状を発送する際の注意点
【重要】届出印間違い
銀行確認状を発送する際に最も気を付けてほしい点が、銀行届出印の間違いです。
銀行確認状では、会社の重要な取引情報を開示することになるため、依頼書には会社名だけではなく、その銀行の届出印の押印も必要となります。
よくある間違いとして、会社の実印(代表者印)を押してしまい、銀行から「回答できない」と言われてしまうケースです。
私は会計監査業界にかれこれ7年以上いますが、銀行確認状の届出印間違いは毎年のように耳に入りますし、私も担当者として何回か失敗した経験があります。
実印も銀行印もどちらも丸印でサイズも似通っているので、ぱっと見は銀行印が押されているかどうか分かりません。そういった理由から、上記のような間違いが頻発するのかなと思います。
また、実印との間違いの他にも、遠方の支社や支店の銀行口座を確認する際に、本社とは別の届出印となっているにもかかわらず、本社の届出印を押して、銀行から回答できないと返送されるケースも結構多いです。
銀行確認状は発送件数も多くなりますし、監査への影響も大きいので、上記のようなミスで再発送となるのは避けたいところです。
そのため、銀行確認状の依頼書ができたら、正しい銀行届出印が押されているかどうかについて、会社と監査人の双方が気を付けるということにした方が良いかと思います。
会社名・基準日等の記入漏れ
これは会社というよりも、監査人が気を付けるべきポイントになります。
回答書には会社名や基準日(いつの時点の取引情報なのか)を予め記載する必要がありますが、銀行確認状の発送作業を急いでいたりすると、こうした事項を未記入のまま発送してしまうケースがあります。
ただ、依頼書に基準日を書いていることも多いので、銀行の人が気を利かせて対応してくれるケースもあります。
私も過去に同じことをやってしまいましたが、銀行から電話がかかってきて、電話で基準日を伝えてそのまま回答してくれたこともありました。
とはいえ、万が一再発送となるとタイムロスになるので、上記のようなミスは避けたいところです。
また、依頼書や回答書の中で当座勘定照合表の依頼をするかどうかを選択する欄があることが多いので、それらについても記入漏れがないように気を付けましょう。
返信用封筒・切手の同封漏れ
これは銀行確認状に限らず確認状全般に言えることですが、回答を求めている以上、返信用封筒や返信用の切手の同封漏れにも注意しましょう。
こちらの監査業務に協力してもらっているわけですからね、先方への配慮も忘れずに対応したいところです。
まとめ
銀行確認状の届出印間違いは、銀行確認状全件に影響する可能性があります。
届出印間違いで、全件再発送となったら結構しんどいことになるので、発送する際は入念にチェックすることをお勧めします。