帳簿に記帳する取引としては、売上や仕入、経費など色々ありますが、それらを皆さんはどのような順番で記帳されていますか?
どのような順番で記帳したとしても、最終的にすべてちゃんと記帳出来ていれば問題はありませんが、記帳方法によってミスが起きやすかったり、経営的な観点でイマイチだったりするので、今日はそれについてお話します。
大前提:記帳は発生ベースで
まず大前提として、記帳は出来るだけ発生ベースでやるようにしましょう。
記帳方法としては大きく、①現金主義と②発生主義があります。①は現金や預金の入出金時に売上や経費などを記帳するやり方で、②は売上や経費が発生したときに売掛金や買掛金(未払金)を計上し、その後それらが入金(支払)された時に対象の債権債務を取り崩す、というやり方です。
青色申告でやるなら基本的には②で記帳する必要がありますし、経営的にも損益の発生ベースで記帳しないと期間損益が正しく把握できないという問題点があるため、記帳方法としては②でやるようにしましょう。
以降、②の発生主義で記帳していくことを前提にお話します。
まず未決済取引を記帳して、その後に消し込んでいく
未決済取引とは、例えば下記のような取引のことです。
- 売上請求書を発行したときに計上する売掛金
- 支払い請求書をもらったときに計上する買掛金、または未払金
- 給与や法定福利費などを計上するときの未払金
- 立替経費を計上するときの未払金
まずは、上記未決済取引を記帳して、それが終わった後で対象期間の現金や預金の動きを記帳します。
この順番で記帳することで、発生主義に対応した記帳が出来、計上済みの債権や債務との二重計上リスクも無くなります。
発生主義については先に述べた通りで、売上や経費が発生ベースで計上されることになるので、期間損益が正しく把握でき、経営管理に役立ちます。簡単に言えば、儲かっているのか、儲かっていなのかが、損益として分かります。
「計上済みの債権や債務との二重計上リスク」というのは、例えばすでに「売掛金××/売上××」という売上の仕訳を計上しているのに、預金入金時に「預金××/売上××」と記帳してしまうと、売上が二重に計上されてしまうというリスクのことです。預金入金時の正しい仕訳としては、「預金××/売掛金××」です。現金や預金の記帳時には取り崩す対象となる債権債務をまずは確認することで、こうした二重計上を防止することが出来ます。
この二重計上誤りは記帳時のミスとしては、あるあるなので、こうしたミスを防止するためにも是非、未決済取引から記帳することをオススメします。
なお、未決済取引の中でどれから記帳するかの順番は特にありませんが、損益計算書の上から記帳していくのが個人的には分かりやすいかなと思います。つまり、①売上(売掛金)→②仕入(買掛金)→③経費(未払金)という感じです。
まとめ(たかが記帳、されど記帳)
以上、記帳する順番は未決済取引から消込(決済取引)を記帳するのがオススメですよーという話でした。
記帳作業は手間も時間もかかるので、ついつい適当にやってしまいがちですが、適当にやって帳簿がぐちゃぐちゃになってしまうと、後から修復するのが大変になります。そこで本来必要のないコストが発生するかもしれません。
それに正しい納税額が計算出来ていないと、後で追徴課税されるなんてことにもなりかねません。
そのようなことにならないためにも、是非普段の記帳から正しく行っていきましょう!