銀行から融資を受ける際の目的としては、大きく日常経費や固定費を賄うための「運転資金」と、製造設備の購入や店舗建築などのための「設備資金」の2つに分かれます。
運転資金であれば、直近の経費実績がわかればどのくらいの資金が必要なのかは分かりますが(目安は3か月分)、設備資金の場合には、その設備投資のための見積書が必ず必要になります。
見積書を準備するためには、どのような内容の投資を行うのか、その投資で採算が取れるのか、業者との交渉など事前に対処しておかなければならない事項も多いので、設備資金として融資を受ける場合には早めに準備に取り掛かるようにしましょう。
本記事では、設備資金で融資を受ける際の見積書の重要性や、設備資金で融資を受ける際のポイントについて解説します。
設備資金融資は見積書必須
日本政策金融公庫であれ、民間銀行であれ、設備資金で融資を受ける際には、見積書が必ず必要になります。
なぜ見積書が必要になるのかというと、設備資金が高額となり、回収期間が長期間に及ぶことから、銀行としても融資判断がより慎重になるからです。
例えば、金融公庫の個人・小規模事業者向け融資の必要資料としては、設備資金として融資を申し込む場合には、以下のように見積書が必須であることが明記されています。
設備資金として融資を受ける場合には、見積書がないと融資申込をすることすら出来ませんので、必ず見積書を準備するようにしましょう。
設備投資をする目的・理由・効果・採算を考えておく(テンプレートの活用)
そして、勘違いしてはいけないのは、設備資金の見積書を銀行に提出さえすれば、それで融資が下りる訳ではないということです。
提出した見積書は精査され、様々な角度から深掘りされます。それは書面審査上もそうですし、面談でも色々と質問されるでしょう。
金融公庫では、設備資金の融資を申し込む際の参考資料として、設備投資計画書(こちらの16番にあります)というテンプレートを用意しています。予めこういった書類で自分の考えや想いを整理しておくと、自分の考えも整理しやすいですし、これを銀行に提出すれば、融資担当者の印象も良くなるでしょう。
<記載時のポイント>
- 事実を正確に。
- 事業に詳しくない人が見ても分かりやすい内容や言葉で書く。
- 効果は数字で示せるとGood!
<記載時のポイント>
- 自己資金は最低3割は欲しい。
- 見積先も書く。見積先も聞かれる場合があるので、なぜそこなのかということは聞かれてもいいように準備しておく。
- 運転資金も合わせて融資を受けておくのがオススメ(目安3か月分)
<記載時のポイント>
- 根拠は数字で定量的に書く。単価×数量などの計算式で示したり、過去実績など。
- 融資金額÷軌道に乗った後の営業利益(年間分)の年数が現実的な数字となるように。例えば10年など。
- 返済年数が設備投資の耐用年数(使える年数)ぐらいで収まるように。
<記載時のポイント>
- 自信の強みや他事業者との差別化ポイント、事業の将来性などを書いて、融資が下りるように自己PRを書く。
- 熱意を書くのは重要だが、抽象的な表現になり過ぎないように注意する。(根拠なき自信は逆効果になり得る)
- 融資を受けられたらさらに事業が成長するというような融資の必要性も書けたら尚良し。
このテンプレートは自由提出なので、必ず作成・提出が必要という訳ではありません。最初の理由等以外は、創業計画書に記載する内容と同じなので、創業計画書を作成する場合にはわざわざこっちも作る必要はないでしょう。
ただ、こういった内容を設備投資の観点から予め検討しておくことはとても大事なことなので、これらを参考に事前にしっかりと検討されておくと融資を受けられる可能性も高まるものと思います。
まとめ
以上、設備資金で融資を受ける際の見積書の重要性やポイントについてでした。
参考になりましたら幸いです。