法人を新たに設立した場合、税務署に法人設立届出書を提出する必要があります。
しかし、法人設立届出書は税務署だけではなく、県や市区町村にも提出する必要があります。これは、法人設立後は、獲得した利益に対して、法人県民税・市民税や法人事業税などの地方税も課せられるためです。
そこで、本記事では地方税版の法人設立届出書の書き方や提出方法について解説します。なお、税務署に提出する法人設立届出書についてはこちらの記事で解説しています。
書き方
解説に際しては、東京都の記載様式をベースに解説します。当該様式はこちらから入手できます。
地方税の法人設立届出書は県や市区町村によって、若干フォーマットが異なるため、実際に作成する際は、法人が所在する県や市区町村のHPをご参照ください。
それでは、以下個別に解説していきます。
- ①提出年月日と提出先
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提出年月日と提出先となる地方自治体名を記載します。
一応提出期限も自治体によって決まりがあるので、その期限内に出すようにしましょう。
また、「設立」と「設置」のいずれかを選択します。法人設立の場合は「設立」を選択します。
- ②法人や法人代表者の基本情報
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提出主体となる法人やその法人の代表者の基本情報を記載します。
記載するにあたって、会社の定款や登記簿があると便利です。
法人番号は取得済みであれば、こちらから調べることもできますが、提出日時点で法人番号の指定を受けていない場合は、記載不要です。
- ③設立年月日と資本金
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法人設立年月日と資本金を記載します。「資本金又は出資金の額」と「資本金等の額」は基本的には同額となります。
- ④事業年度
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定款で定めた事業年度を記載します。
- ⑤申告期限の延長の有無
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申告期限の延長申請を出している場合や、同時に提出する場合には事業税、住民税それぞれ「有」を選択し、延長された最初の事業年度及び延長月数を記載します。
特にそういった申請を出していない場合は、「無」を選択します。
- ⑥従業員の数
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すでに従業員がいる場合は、その人数を記載します。
- ⑦支店・出張所・工場
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支店等がある場合には、登記の有無にかかわらず、すべての支店等の名称や所在地及び設置年月日を入力します。
該当がない場合は、空欄で問題ありません。
- ⑧設立の形態
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該当する設立形態を選択します。資本金を金銭で支出して新規設立した場合には、「5 その他」を選択して、()に「新設法人」や「金銭の出資により設立」などと記載します。
- ⑨事務所等の所在地
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事務所が1か所のみであれば、「当該市区町村にのみ事務所等を有する法人」を選択します。
- ⑩関与税理士の情報
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顧問税理士や本件届出書の記載に関与した税理士がいる場合に記載します。
自社で作成している場合は記載不要です。
- ⑪添付書類
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税務署への提出に際しては、定款の写しを添付するだけですが、地方税の場合は定款の写し+登記事項証明書(履歴事項全部証明書)の写しも添付する必要があります。
そのため、1と2を〇で囲み、提出時に届出書と合わせて提出します。
- ⑫連結納税
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連結納税の適用を受ける場合に記載する項目です。
該当なければ記載不要です。
- ⑬税理士署名
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関与税理士の署名欄です。自社で提出する場合は記載不要です。
- ⑭事業の種類
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具体的な事業の種類を記載します。
- ⑮一般社団法人等
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一般社団法人や一般財団法人である場合、該当する項目を選択します。
- ⑯公益法人等
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公益法人等である場合、該当する項目を選択します。
提出方法
県税事務所や市役所等の役場にそれぞれ1部提出します。
東京23区内の場合は、所轄の都税事務所に提出します。所轄の都税事務所はこちらから調べることができます。
提出するものは、下記3点です。
- 設立届出書
- 定款等の写し
- 登記事項証明書(履歴事項全部証明書)の写し
提出方法としては、持参、郵送、eLtax等の電子申告による方法があります。
eLTAXで添付書類もPDFで提出ができるため、一番楽なのはeLTAXです。ただし、eLTAXを利用するためには利用者IDの取得などの事前準備が必要になります。
また、提出した書類は返ってきませんので、持参若しくは郵送で提出する場合、自社の控え用として届出書をもう1部作成し提出するにしましょう。郵送の場合は、返信用封筒も同封して、「控えをお願いします」などと付箋でメモを貼っておけば、受領印を押して返信してくれます。
eLTAXによる場合は、受信通知により申告したことの証明が得られます。
まとめ
法人を設立した場合には、税務署だけでなく県税事務所や市役所等にも「法人設立届出書」の提出が必要になります。(東京23区内の場合は都税事務所のみ)
記載する内容は税務署へ提出する法人設立届出書とほとんど同じなので、税務署に提出する際に同時に対応しておくことをおススメします。