開業初年度はまだ開業準備中だったり、事業が本格的にスタートする前だったりで、最終的には赤字決算となる方も多いと思います。
利益が出てないんだから確定申告は不要でしょ?と思う方もいるかもしれませんが、赤字だったとしても確定申告をすることで得られるメリットがあります。
本記事では開業初年度が赤字でも確定申告をした方がいい人について解説します。
なお、そもそも確定申告が必要となる人は、本記事に限らず確定申告が必要となりますのでご留意ください。
確定申告をした方が良い人
給与所得などの他の所得がある人
事業所得で赤字が発生した場合、給与所得などの他の所得と相殺(損益通算)することで、源泉徴収されている所得税の還付を受けることができます。
例えば、給与所得のみの場合の源泉徴収税額が155,500円だったとします。
このとき、事業所得の赤字が50万円あった場合に、損益通算を適用すると、以下の通り50,000円の還付(下表E)を受けることができます。
これは事業所得の赤字50万円(上表C)の所得税分(適用税率10%)が還付されている形になります。
以上の通り、事業所得が赤字であっても、他の所得があり、かつ源泉徴収税額がある場合には損益通算により所得税の還付を受けることができるので、確定申告はした方が良いということになります。
赤字を繰り越したい人
青色申告の場合は、純損失の繰越控除といって、3年間その赤字を繰り越すことができます。
これがどんなメリットがあるのかというと、例えば開業初年度は50万円の赤字、翌年は50万円の利益が出たとします。
このとき、開業初年度の赤字50万円を繰り越していると、翌年50万円の利益と相殺して、翌年の課税所得をゼロとすることができ、結果として所得税が課されないことになるのです。
ただし、純損失の繰越控除は、確定申告をすることが要件とされているため、この場合も確定申告をした方がよいということになります。
なお、純損失の繰越控除を適用するためには、そもそも青色申告承認申請書の提出が必要となりますのでご注意ください。
まとめ
青色申告の方であれば、損失繰り越しのために確定申告をした方がお得となります。
また、青色でも白色でも他の所得と損益通算することにより所得税の還付を受けられる人も確定申告はした方がお得となります。
実際どれだけ還付されるかなどは、税理士に相談すれば教えてくれると思いますので、該当しそうな方は検討されてみてはいかがでしょうか。