ふるさと納税の控除限度額の計算式とそのロジックを解説【数式で証明・専門家向け】

ふるさと納税には、いくらまでであれば自己負担2,000円に収まるかという控除限度額を計算する式があるのをご存じでしょうか?基本的にはそれで計算していれば、簡単に控除限度額を計算出来るので非常に便利なのですが、なぜその計算式で控除限度額が計算できるのかがとても気になったので、今更ながらその計算ロジックについて考えてみました。

なお、本記事では基本的な税金計算の解説は省略していますので、税理士など専門家向けの内容になるかと思います。(基本的な部分まで解説していると、膨大の量の文章を書かないといけないので。。。)それぐらい、ふるさと納税の仕組みは複雑で広範な知識が必要になると思います。

では本題に入りまして、まずふるさと納税の控除限度額については、以下の算式で求めることが出来ます。

個人住民税所得割額×0.2÷(1-所得税率-住民税率10%)+2,000円

例えば、ふるさと納税をする年の個人住民税所得割額が50万円で、所得税率が20.42%(復興特別所得税も加味)だった場合、以下の通りとなります。

50万円×0.2÷(1-20.42%-10%)+2,000=145,719円(円未満切り捨て)

→145,719円までであれば、自己負担2,000円で残りは所得税・住民税から控除できるということです。

<計算書上の注意点>

  • 個人住民税所得割=住民税を計算する上での課税所得金額×10%-調整控除
  • 所得税率は所得税を計算する上での課税所得金額を算出して、その所得に適用される所得税率を使用。
  • 所得税率の復興特別所得税を加味するのも忘れないように。
  • 正確なシミュレーションをするためには、所得税と住民税のそれぞれで課税所得金額を出す必要がある。所得控除金額が微妙に違ってくることが多いので、その点要注意。

次になぜ上記の計算式でふるさと納税の上限額が算定できるのかについてですが、これを理解するためには、ふるさと納税の控除がどのように行われているかを理解する必要があります。

→ふるさと納税の控除は、①所得税からの控除②住民税からの控除(基本分)③住民税からの控除(特例分)の3つから構成されています。

この辺の理解をするためには、税務署HPのこちら(No.1155 ふるさと納税(寄附金控除))や、総務省HPのこちら(ふるさと納税のしくみ)が参考になります。

まず①で「(ふるさと納税額-2,000円)×所得税率」が所得税から控除されます。正確には(ふるさと納税-2,000円)が所得控除され、その分が適用される税率に応じて所得税から控除されるという形です。控除の対象となるふるさと納税の額は、総所得金額等の40%が上限となりますので、超えていないかは一応チェックが必要です。

次に②で「(ふるさと納税額 - 2,000円) × 住民税率10%」が住民税から税額控除されます。控除の対象となるふるさと納税の額は、総所得金額等の30%が上限となりますので、こちらも超えていないかは一応チェックしましょう。

そして、最後に③で「(ふるさと納税額-2,000円)×(1-所得税率-住民税率10%)」が住民税から控除されます。この控除は、計算式からも分かるように、ふるさと納税額から自己負担2,000円を除いて、さらに①と②ですでに控除した部分を除いた残りの部分について住民税から控除する、という意味合いの控除になります。

そして、③の控除額は個人住民税所得割額の2割に達するまで控除が出来ます。ここが控除限度額の計算式を考える上での重要なポイントになります!

最終的な控除額となる③が住民税所得割額の2割に達するまで控除できるということは、③の「(ふるさと納税額-2,000)×(1-所得税率-住民税率10%)」が、「個人住民税所得割額×0.2」とイコールになるときのふるさと納税額が控除限度額(自己負担2,000円で済む最大限の額)になるということです。

これを数式で示すと以下の通り。

(ふるさと納税額-2,000円)×(1-所得税率-住民税率10%)個人住民税所得割額×0.2

→両辺を(1-所得税率-住民税率10%)で割る。

ふるさと納税額-2,000円)個人住民税所得割額×0.2÷(1-所得税率-住民税率10%

→左辺の「-2,000」を右辺に移動。

ふるさと納税額個人住民税税所得割額×0.2÷(1-所得税率-住民税率10%)+2,000円

上記式の右辺が、冒頭で示した控除限度額の式になることが確認できました。

なお、ここでは住宅ローン控除がないものとして計算をしていますが、住宅ローン控除額が入ってくると、ふるさと納の控除が優先され、その結果住宅ローン控除の控除額が限度額を超過するといった場合もあるそうなので、住宅ローン控除がある方のふるさと納税の限度額を計算する際には、この点も考慮する必要があります。

以上、ふるさと納税の限度額の計算式についてでした!参考になりましたら幸いです。

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