商品やサービスを買うときに電子マネーで支払う方も多いと思います。本記事では電子マネーなどの物品切手等で支払った場合の課税仕入れの時期について解説します。
物品切手等を利用して対価を支払う場合の経理処理としては、原則的な方法と例外として認められている方法があります。
物品切手等を購入した段階では課税仕入れとはならず、商品やサービスの引換給付を受けた時(物品切手等の利用時)に課税仕入れとなる。
つまり仕訳でいうと、
〔購入時〕預け金100/未払金100 ※クレジットカードで100円を電子マネーにチャージ
〔利用時〕仕入100/預け金 ※チャージした電子マネーで100円の商品を仕入れ
原則的な方法だと、実際にその物品切手等を利用した時に初めて費用の計上(消費税の認識)が出来ます。
次に例外的に認められている方法です。
下記条件を満たす場合には、物品切手等の購入時(チャージ時)に課税仕入れとすることも認められる。
- 事業者が物品切手等を自ら使用する場合で、その物品切手等が、商品やサービスの引換給付を受ける相手方(適格請求書発行事業者)により回収される。
- 継続して当該物品切手等を購入した日の属する課税期間の課税仕入れとしている。
仕訳でいうと、
〔購入時〕仕入100/未払金100 ※クレジットカードで100円を電子マネーにチャージ
〔利用時〕仕訳なし ※チャージした電子マネーで100円の商品を仕入れ
例外的な方法だと、物品切手等を購入・チャージした時に同時に費用の計上(消費税の認識)が出来ます。
原則と例外を比べると、例外のほうが断然楽なことがわかりますね。例えば、freeeなどのクラウド会計を使っていると、クレジットカードは連携できるけど電子マネーは連携できないということはよくあります。そういう時でも例外的な方法だとクレジットカードの明細をそのまま費用で計上できるので、記帳作業はとても楽になります。
ただし、例外的な方法にも注意点があります。
消費税の課税事業者で原則課税(簡易課税・2割特例以外)を適用している場合には、仕入税額控除を適用する要件として、①適格請求書(インボイス)等の保存、②一定の事項が記載された帳簿の保存が求められます。
①は購入時にもらう領収書等を保存するだけなので問題ないと思いますが、②は注意すべきです。②で帳簿に記載すべき項目は下記になりますが、このうち「課税仕入れの相手方の氏名又は名称」には、物品切手等を購入した事業者名を書くのではなく、その物品切手等を利用した事業者名を記載することになります。
- 課税仕入れの相手方の氏名又は名称
- 取引年月日
- 取引内容(軽減税率の対象品目である旨)
- 対価の額
クレジットカード等の明細には物品切手等を提供している事業者の名前が出るため、帳簿の作成時にはこの事業者名は商品やサービスを購入した事業者名に変更する必要があります。
毎回同じ事業者で使っている場合には、最初からその事業者名を入れて帳簿を作成するのが簡単でしょう。ただ実際すべての取引を完璧に対応するのは難しい場合もあります。実務上どこまで完璧に対応するか悩む場合には、顧問税理士等に相談されることをお勧めします。
後で税務署に指摘されないようにするためにも、例外的な処理が認めらる条件、そもそもの仕入税額控除が認められる条件をしっかり押さえておきましょう。