店舗で何かを購入した際にはお店側からレシートを戴くと思いますが、クレジットを利用した場合にはレシートとは別にクレジット売上票(=クレジットの利用控え)ももらえる場合が多いかと思います。
インボイス制度下においては、クレジット売上票ではインボイスの要件を満たさない場合が多いので、基本的にはレシートを保存するようにしましょう。
ただし、以下の場合にはインボイスの保存義務はないので、これらに該当する場合にはレシートではなく、クレジット売上票でも消費税的には問題ありません。
- 一定規模以下の事業者で支払対価の額が税込1万円未満の取引(2029年9月末まで)
- 簡易課税制度を選択している場合
- 2割特例を利用している場合(2026年9月末まで)
※当該免除規程は購入側のインボイスの保存要件の話で、売上側のインボイスの交付義務が免除されるわけではないのでご注意ください。
以下それぞれ解説します!
インボイスはクレジット売上票ではなくレシートを保存する
なぜクレジット売上票ではなく、レシートを保存しなければならないかと言うと、クレジット売上票にはインボイスの登録番号が記載されていないからです。
本記事のサムネイルにもしていますが、改めて具体例で確認してみましょう。以下レシート類は私がクレジットのタッチ決済でカフェを利用した際の控えです。左側がレシートで、右側でクレジットのタッチ決済の控えです。
左側にはオレンジでマーカーを引いた箇所に登録番号の記載がありますが、右側には登録番号の記載がありません。そのため、右側の控えはインボイスの要件を満たさず、原則としては右側の控えのみでは消費税の仕入税額控除の適用が出来ないことになります。
そのため、消費税の原則課税を適用されている課税事業者の方は、左側の登録番号の記載があるレシートを保存するようにしましょう。
ちなみに、上記とは別の店舗で、suicaを使って決済した場合は以下の通りでした。こちらの場合でも同様に左側のレシートには登録番号がありますが、右側の交通IC利用控えには登録番号がありません。
インボイスの保存が不要となる場合とは?
上記では「原則としては~」というような言い方をしていましたが、これは例外規定があるからです。
というのも、冒頭に記載した通り、インボイスの保存が不要となる場合もあります。
- 一定規模以下の事業者で支払対価の額が税込1万円未満の取引(2029年9月末まで)
- 簡易課税制度を選択している場合
- 2割特例を選択している場合(2026年9月末まで)
※当該免除規程は購入側のインボイスの保存要件の話で、売上側のインボイスの交付義務が免除されるわけではないのでご注意ください。
1つ目は課税売上高が1億円以下のような小規模事業者については、税込対価が1万円未満の取引の場合、インボイスの保存が免除されるというものです。ただし、2029年9月末までという時限措置のため、これ以後は原則通り1万円未満でもインボイスの保存が必要となる点には注意が必要です。以下当該規程の主な要件です。詳細はこちら(国税庁:少額特例の概要)をご参照ください。
- 適用対象者は、基準期間(個人はその年の前々年、法人の場合はその事業年度の前々事業年度)における課税売上高が1億円以下又は特定期間(個人は前年1月から6月までの期間、法人は前事業年度の開始の日以後6か月の期間)における課税売上高が5千万円以下の事業者
- 「税込1万円未満の課税仕入れ」に該当するか否かは、一回の取引の課税仕入れに係る税込金額が1万円未満かどうかで判定する。そのため、例えば5千円の商品と7千円の商品を同時に購入した場合(合計1万2千円)には、少額特例の対象とはならない。
2つ目と3つ目は消費税の納税額の計算方法が原則的な方法ではなく、簡易課税や2割特例を選択している場合、インボイスの保存が不要になるというものです。これは、簡易課税や2割特例の場合、課税売上高から課税仕入に係る消費税額や納付税額を計算することから、支払側の消費税を把握する必要がないためです。
まとめ(レシートを保存する習慣を付けましょう)
以上、インボイスはクレジット売上票ではなくレシートを保存しましょう!という話でした。
例外規定も色々とありますが、最初からレシートを保存するようにしておけば済む話でもあるので、今後はこれを機にレシートを保存する習慣をつけることをオススメします!