税理士業をしていると、顧問契約や確定申告以外にも、融資申請や補助金申請のサポートなども受けることが有ります。私の場合、その融資や補助金についてのノウハウがあまりない場合には、自分の勉強代として、成功報酬だけで業務を受けることもありますが、最近は成功報酬だけはやっぱり微妙だなと思うようになりました。
なぜなら、いくら自分の勉強代とはいえ、ある程度の工数はかかるので最低限の着手金を戴かないとやはりキツイし、中には諸事情によりプロジェクトが途中でストップする可能性も大いにあるからです。成功報酬だけで業務を進めるリスクやデメリットについて、考えてみたいと思います。
成功報酬だけで業務を進めるリスクやデメリット
着手金がないと報酬ゼロもあり得る
着手金なし、成功報酬のみだと、業務に失敗すれば報酬は当然ゼロです。(ここでは業務途中でのキャンセルはないと仮定)
でも、業務を進めるに当たっては、調査費・書籍代・会議費・交際費・旅費交通費など、少なからずお金がかかります。それに、多くの時間も費やすことになるでしょう。
絶対に成功する自信があるのであれば、成功報酬だけでもいいかもしれませんが、なかなか難しいと思います。
そのプロジェクトが長期間であれば、お金をもらわずに長期間稼働することになり、資金繰りの問題や自分の業務へのモチベーションにも影響を及ぼしかねません。
そのため、やはり少なくとも業務終了までの実費経費(人件費もある程度含む)ぐらいの着手金はもらっておくべきかなと思います。依頼者からしてみれば、着手金は出来るだけない方がうれしいとは思いますが、依頼を受ける側からすると、やはり着手金なしはキツイかなと。
途中でキャンセルとなるリスク
個人的に着手金なしよりもっと怖いのが、業務途中でのキャンセルにより、本来得られたであろう成功報酬がもらえないリスクです。
例えば、補助金に申請予定で後は申請するだけという所まで進んで、銀行から融資が下りなかったから、やっぱり補助金申請は止める(若しくは、出来ない)となった場合には、それまでに掛けた時間や、せっかく作った事業計画書がすべて水の泡と化します。
これはとても恐ろしいことですね。補助金申請をして採択されれば、成功報酬ががっつり入ったのに、自分に非がない状況で申請できずに成功報酬が1円も入ってこなくなるわけですから。
このような場合に備えて、例えば、世間一般のキャンセルポリシーのように、業務完了予定日までの期間に応じて、一定割合のキャンセル料金を取る契約にしておくことが有効かと思います。業務を進める中で、どんなことが起きるか分からないので、それに備えることは必要かなと。
キャンセルポリシーの内容は誠実に考えるべきですが、それを受け入れない方からの依頼はハイリスクとして受けないという選択もありかなと思います。
業務へのモチベーションが低下するリスク
あとは、上の2つとも関連しますが、報酬がもらえない可能性が高くなってくると、正直業務へのモチベーションが低下していきます。これは私の実体験からも言えることです。
業務へのモチベーションが低下すると、依頼者のためにもならないので、そういう意味では、完全成功報酬型というのはあまり良くないかもしれません。
逆に完全成功報酬型だからこそ、業務完遂のモチベーションが高くなるとも言えるので(成功しないとお金がもらえないから必死になる)、一概には言えませんが。。。
いずれにしても、最低でもキャンセルポリシーはやはり設定しておくのが望ましいかなと思います。
まとめ
ということで、健全に業務を進めるためにも、成功報酬型とはいえ、最低限の着手金や、キャンセルポリシーはしっかりと検討して、業務を始める前に依頼者と合意しておくことをオススメします。
もしそこで合意が得られないのであれば、リスクが高いとして、業務を受けないという判断もあり得ると思います。