法人や個人の確定申告書の提出先は、「納税地」を所轄する税務署長宛てとなります。この納税地は法人であれば「その法人の本店又は主たる事務所の所在地」になりますが、個人の場合は「住所地」「居所地」「事業所等の所在地」の3つから選択することができます。
今回は個人が選択できる3種類の納税地と、納税地を変更する場合の手続きについてご紹介します。
3種類の納税地
住所地(原則)
国内に住所がある場合には、その住所地が納税地となります。この考え方が原則となるため、後述する居所地や事業所等の所在地を納税地とする場合には、変更届の提出が必要になります。なお、引越し等で住所変更があった場合にも変更届の提出が必要になるので注意が必要です。
ちなみに、自分の住所をどの税務署が所轄しているのかは国税庁サイトの「税務署の所在地などを知りたい方」で簡単に調べることができます。
居所地(変更届が必要)
住民票記載の住所とは別の場所で生活をしている方もいるかと思います。その場合には、この生活拠点の場所を納税地とすることができます。ただし、特例という取り扱いのため、別途変更届の提出が必要になります。
事業所等の所在地(変更届が必要)
個人事業主であれば、住所地や居所地とは別に事務所やお店などの事業所を有している方も多いかと思います。その場合には、この事業所の場所を納税地とすることもできます。ただし、居所地と同様に特例扱いのため、別途変更届の提出が必要になります。
ちなみに、私はこのパターンで事務所がある場所を納税地にしています。
納税地を変更する場合に必要な手続き
納税地を変更する場合には、変更前の税務署に「所得税・消費税の納税地の異動又は変更に関する届出書」を提出する必要があります。
以下手続きの概要です。詳細を確認したい場合は、こちらの国税庁HPをご参照ください。
項目 | 内容 |
---|---|
提出時期 | 納税地の異動があった場合には遅滞なく提出。納税地の変更の場合は特に定められていない。(ただし、この届出書の提出があった日以後に納税地が変更される) |
提出方法 | 持参、郵送、e-Taxのいずれか。わざわざ持参するのも手間なので、郵送が楽だと思います。 |
提出先 | 変更前の納税地を所轄する税務署長。変更後ではないので注意。 |
書式 | 上記国税庁HPからPDFでダウンロード。若しくは最寄りの税務署でもらう。 |
入力方法 | PDFは入力可能なので、PC等で入力の上印刷するのが簡単です。印刷して手書きでももちろんOKですが、PDFで入力すると控えも同時に作成できるので便利です。 |
なお、提出部数については、提出用1部と控え用1部の計2部を提出するようにしましょう。控えは義務ではありませんが、一度提出すると手元には返ってこないので、提出したことの証明として控えも作成することをおススメします。
郵送提出の場合は、控え1部と返信用封筒を添えて提出すれば、受領印を押して返送してくれます。
「納税地の変更に関する届出書」の書き方
それでは実際に、変更届の書き方をご説明します。下記は国税庁HPからダウンロードしたPDFです。赤字番号や赤枠で示した箇所の入力が必要になります。
①消費税の納税義務がない方は、「消費税」の文言を二重線で抹消します。所得税も、消費税も対象となる方はそのままでOKです。
②変更前の税務署と提出日を記載。
③現在の情報を書く欄です。最初の「納税地」欄の3つの〇のいずれかにチェックを入れるのも忘れないように。「上記以外の住所地・事業所等」は、該当ない場合は空欄でOKです。個人番号(マイナンバー)も必要になります。
④変更前の納税地と変更したい納税地をそれぞれ記載します。変更前の納税地は、③で記載しているので、「上記の通り」でOKです。
⑤「ことを便宜とする」か「必要がなくなった」の〇のいずれかにチェックを入れるとともに、具体的な理由を空欄に簡潔に記載します。〇の選択は分かりづらい日本語ですが、居所地や事業所等を納税地にしたい場合には、「ことを便宜とする」を選択します。具体的な理由は一言程度でOKです。私の場合は「住所地よりも事業所の方が税務署が近いため」と記載しました。
⑥事業所等を有する場合には、該当する情報を簡潔に記載します。屋号等がない場合には空欄でOKです。
⑦関与税理士がいれば記載。いなければ空欄でOKです。
アクセスのよい税務署を選ぶ
以上、納税地と変更届の書き方についてでした。
税務署は結構アクセスが悪い場合もあるので、居所地や職場等でアクセスがよい税務署があるなら、納税地の変更もおススメです。私自身、自宅よりも事務所の方が税務署へのアクセスが良かったので、事業所の所在地に納税地を変更しました。
変更手続き自体は簡単なので、該当する方は検討されてみてはいかがでしょうか。