【節税対策】車を会社に「貸す」のと「売る」のはどっちがいい?

会社の節税対策の一つとして自家用車を会社に貸したり売却したりすることがあります。貸した場合には会社が賃借料を払い、売った場合には車の減価償却費が会社の経費となるため、これで会社の節税になるという仕組みです。

では、会社に「貸す」のと「売る」のはどちらいいのか?節税やそれ以外の観点から、お勧めのやり方をご紹介します。

いきなり結論ですが、基本的には会社に売るやり方をお勧めします!

理由として下記です。

①個人の確定申告の手間とコスト

会社に貸す場合には、個人が受け取る賃貸料が収入となり、雑所得として確定申告が必要になります。

雑所得を計算し、確定申告するのは手間がかかりますし、それを税理士に依頼するならその分料金がかかるため追加コストがかかってしまいます。

会社に売る場合には、法人税務顧問の一環で追加料金なしで税理士が処理してくれるため、コスパがいいです。

②雑所得の赤字が無駄になる

会社に貸す場合には、貸す車の減価償却費が賃貸料に対する費用となるのですが、減価償却費は中古車であれば2年償却となるケースも多く(車の法定償却方法は、個人は定額法、法人は定率法)、その場合最初の2年間は減価償却費が賃貸料を上回り、雑所得が赤字となる可能性があります。

雑所得の赤字は他の所得(給与所得や事業所得)との相殺ができないため、赤字分の節税効果が切り捨てられてしまい、非常にもったいないと言えます。なお、雑所得の赤字は事業所得のような3年間の繰越控除はありません(先物取引等除く)。

会社に売る場合には、赤字が出た場合でも10年間繰越控除ができるため、10年間の間に繰越欠損金を回収する利益があれば車の減価償却費をもれなく会社の経費とすることが出来ます。

③車所有にかかるコストの経理処理が簡単

会社に貸す場合には、実際に使っているのは借りている会社ですが、車所有にかかるコストは基本的に貸している個人側の費用となるため、経理処理も分けて考える必要があります。ただ中には会社としての経費と考えられるような微妙な費用もあり、これらを毎回会社で計上するのか、個人で計上するのかを考えるのは面倒です。

その結果によって、上記②でお伝えした個人雑所得の赤字切り捨て問題も出てくるため、死活問題です。

会社に売る場合には、売却後の車関連のコストは基本的には会社で計上することが出来るため、経理処理が簡単になります。

以上が、会社に売るやり方をお勧めする理由です。

なお、会社に売るやり方にもデメリットや注意点がありますのでご紹介しておきます。

  • 会社に売る際には個人側で譲渡利益の確定申告が必要になる場合があり、利益が出れば当然納税となる。
  • 会社に売る際には時価で譲渡しないと税務上問題となる場合がある
  • 個人から法人への名義変更の手間やコストがかかる
  • 名義変更に伴い、保険の等級が下がり、保険料が上がる可能性がある
  • 車の減価償却費を会社で計上するため、会社の決算書の見栄えが変化する

このようなデメリット・注意点がありますので、会社に売る方法をとる場合にはご留意ください。特に時価譲渡をしなければいけない点や個人側で譲渡利益が生じた際の確定申告などは正しく処理しておかないと後で税務署から指摘され、余計な税金を払うことにもなりかねないのでご注意ください。

ご不安であれば、税理士に相談されることをお勧めします。税理士に相談すれば、事前にシミュレーションを行い、最適なプランを提案してもらえるでしょう。

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